2012年3月29日木曜日

ふたりのヌーヴェルヴァーグ

この前お店で「フランス映画って観てみたいけど、何から観るといいですか?」と若い方に質問されました。せっかく興味を持ってくれたんだから、絶対スキになってほしい!と思うと、何をお勧めしていいかわからなくて困ってしましました。「意味わかんないけどオシャレだよねー」で終ってしまったらとってももったいないから(そういう感想聞いた事何度もあるんです)。

しかし新作DVDレンタルで『二人のヌーヴェルヴァーグ ゴダールとトリュフォー』http://www.cetera.co.jp/nv/を観て答えがわかりました。それはずばりトリュフォーの『大人はわかってくれない』http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E4%BA%BA%E3%81%AF%E5%88%A4%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84でした。

すごい映画監督はたくさんいますが、好きな監督は?と聞かれれば、トリュフォーの事が真っ先に思い浮かびます。彼の撮った映画が一本残らず全て好きだし、初めて一人暮らしを始めた二十歳の頃、初めて男の人と一緒に暮らしたときも『大人はわかってくれない』のポスターを後生大事に貼っていました。それなのに真っ先にこの映画を挙げることができないなんて・・・。

『二人のヌーヴェルヴァーグ』の始めに『大人はわかってくれない』のラストシーンが使われているのですが、海岸を歩く主人公の少年アントワーヌ(ジャン=ピエール・レオー)の映像は久しぶりに観るとそれだけでゾクゾクと寒気がします。私の男の趣味がショタ(オタク用語ね。わからない方はwiki参照http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%BF%E3%82%B3%E3%83%B3)だと言われるのはもしかしたらここから来ているのかも(笑)。

『大人はわかってくれない』を面白いと思わないなら、他のフランス映画を観ても結局面白いとは思わないから観なくていいかもしれません。
それなのに「最初にどれを観たらフランス映画が好きになってくれるかな?あれは地味だし、これはスターが出てないし・・」なんて考えてしまうなんて、全ての人にわかるように、全ての人が面白いようにと、これでもかと説明や派手なエピソードやシーンを入れまくり、観客を馬鹿だと思ってるとしか思えないような映画を量産しまくるハリウッドのプロデューサーみたいに自分が間抜けだと思いました。

ちなみにこの映画、とっても面白いのだけど「ふたりの・・・」と言いつつトリュフォーメインで描かれておりまして。インテリでイヤミなゴダールより、苦労人で映画を熱愛し続けたトリュフォーが、自分含めシネフィルや後輩映画人たちに敬愛されていることも、まあ当然の事ながら気づかせていただきました。監督や役者の実人生と映画のシンクロ率が高いのもフランス映画の魅力の一つです。そんな風に観ていくと面白く観れるんじゃないでしょうか。

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