2012年4月23日月曜日

バランスを崩してみる

新しいスタッフと新メニューについてミーティングしていて、彼女の作ってきてくれたお菓子を試食しました。とってもうまくできているんだけど、それだけじゃダメなんだ。まるでコンビニやスーパーで売っているお菓子みたいな味になってしまう。
「とってもうまくできてるんだけど、もっとねえ、なんていうかな味のバランスを崩してみて。もっと生姜の味かアーモンドの味を強くしたら?」まじめな彼女の性格が出ている、キチンとした味。
「もちろん悪くはないんだけどさ。お客さまが『また食べたいな、誰かに勧めたいな』って思うくらいインパクトのある味を狙わないと。ちょっとビックリするくらいの味でいいの。例えばさ、ウィルキンソンのジンジャエールってあるじゃない?あれって生姜で辛いんじゃないんだよ。唐辛子が入ってるの。私も作ってみた事あるけど唐辛子を結構入れたら同じ味になった。あれも初めて飲んだらちょっと辛くてビックリするよね。でも今ではカナダドライじゃなくてウィルキンソンがいいなって思うでしょ?ああいう感じの味を狙ってほしいのよ」
突然そのたとえ話で、「今まで頭ではわかってたつもりだけど、急にウィルキンソンの話でピンときました!地味に感動しています・・・」
そっかそっか、よかったよ。技術と熱意のある君なら今度はすごく美味しいのができるよ。若いスタッフに仕事の説明をしていると自分でも改めて気づくことがあるなあと思って他の人にその話をしていたら、「バランスを崩す、というのは私の仕事でもいえる事だ。いい話だ。」と妙に共感していただきました。美は乱調にありっていいますしね。
もちろん直球ど真ん中の豪速球スーパーストレートが投げられる人は一番かっこいいけどさ。道を究めた先にそんな日が来るといいなってことで、とりあえず「あら、すごく美味しいわ!」ってのを一本ずつとっていくしかないんじゃないですかね。

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